日中平和友好条約締結45周年記念
「友好・平和」二胡名曲コンサート 王永徳先生をお迎えして

 2023年10月7日大分市コンパルホール文化ホール、9日鹿児島県霧島国際音楽ホールみやまコンセールにて日中平和友好条約締結45周年記念「友好・平和」二胡名曲コンサートが開催されました。
 昨年の日中国交正常化50周年記念「平和の祭典」に続き、今年も日中交流の大切な節目を迎え、両国の友好と平和を願って、今回はゲストに中国上海から上海音楽学院の著名な教育家で二胡演奏家の王永徳先生と、1991年に来日され全国でご活躍の二胡演奏家ウェイウェイ・ウーさんをお迎えして、華やかに二胡の魅力と素晴らしい演奏が披露されました。

 オープニングは、劉先生の指揮で劉福君九州二胡教室の生徒による合奏「川の流れのように」「北の国から」が演奏され、3曲目の「競馬」には、王永徳先生とウェイウェイ・ウーさんにご登場いただき華やかに幕を開けました。

 続いて、劉先生を中心に九州各県の生徒達(大分会場10名・霧島会場9名)が、台湾の伝統的な舞踊曲「阿美族舞曲」を斉奏。男女が踊る様子を三部構成でドラマチックに描いた作品です。日頃の練習の成果が発揮され、皆さんの呼吸が一つに揃った素晴らしい演奏でした。

 そして出演者によるソロ演奏が続きました。
最初に登場されたのは、昨年より本格的にお父様と共演されている美佳子さんでした。
今回の記念コンサートをはじめ、10月は3週連続でお父様とコンサートに出演されるなど大変ご活躍です。演奏曲は敦煌杯2022 全日本二胡コンクール青年の部で金賞を受賞された「空山鳥語」。見事な演奏テクニックで美しい鳥のさえずりを表現され、楽しく自由に飛び交う鳥たちの情景が浮かんでくるような素敵な演奏でした。

 続いて、今回のコンサートで是非演奏したいと、コンサート直前に曲を変更された劉先生の新曲「琉球の海」が披露されました。お忙しい中でも次々と新しい曲作りやコンサートの企画、主催までを手掛けるバイタリティーに溢れた劉先生の今回の作品は、南国の島国、琉球の海の美しさ、そこで暮らす人々の人柄と魅力を独特な琉球の音階で表現され、異国情緒と、どこか懐かしさを感じさせられる旋律に、終わりの部分は一転してこれまでにない曲調で締めくくられていました。琉球の海の素晴らしさ、そこで暮らす人々の生きる力強さと情熱が伝わってくる作品で本当に素晴らしい演奏でした。

 続いて来日以来、日本で大変ご活躍で、いつもスタイリッシュなウェイウェイ・ウーさんは、4月の劉福君来日30周年記念コンサートと記念ライブに続いてのご出演となりました。
二胡のスタンディング奏法を確立され、現代二胡のパイオニア的存在で二胡愛好家の皆様にも人気の高いウェイウェイ・ウーさんの演奏は、哀愁溢れるメロディーで大人気となった「JIN~仁~」のメインテーマ曲でした。うっとりと聴き入ってしまう素敵な演奏に感動しました。

そして、第一部最後は、劉福君九州二胡教室の顧問として長年ご指導をいただいている王永徳先生にご登場いただきました。4月にご出演予定だった劉福君来日30周年記念コンサートや記念イベントには渡航が困難で来日が叶いませんでしたが、劉先生が皆様との約束を実現され、今回4年半ぶりに来日されました。待ちに待った王先生との再会。たくさんの方々に喜びと感動を与えてくださいました。演奏曲は「蘇南小曲」で、江蘇省南部の美しい自然と風景、勤勉な人々、豊作と大漁の喜びを明快な旋律で表現されました。その演奏の力強さ、情熱的な音の響きに圧倒させられ、王先生の生の演奏を聴くことができたことに感動と感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。会場からもたくさんの熱い拍手が送られ第一部が終了しました。

 第二部のオープニングは、劉先生のユーモラスな司会と曲紹介で「リベルタンゴ」が演奏されました。生徒達(大分会場9名・霧島会場8名)は、タンゴのリズムに合わせて自然と身体が動き踊るように揺れるスカート、フォーメーションを描きながらの演奏スタイルにお客様も楽しんでいただけたと思います。

 続いて、美佳子さんの「葡萄熟了」、劉先生の「チャールダーシュ」ウェイウェイ・ウーさんの「Spain」、王永徳先生の「伊克昭盟小調」とソロ演奏が披露されました。
それぞれに華やかで、演奏技術の高さ、豊かな表現力は圧巻で本当に素晴らしい演奏に感動の連続でした。

 終盤には劉先生、美佳子さん、ウェイウェイ・ウーさんの共演で、劉先生の名曲「草原情」が演奏されました。今回は、美佳子さんのメインメロディーに劉先生とウェイウェイ・ウーさんの異なるメロディーが重なる三重奏のスペシャルバージョンで演奏されました。雄大な草原の美しさ、大草原で暮らす遊牧民たちの情熱や温かさ、大自然に対する溢れる愛を美しいハーモニーで奏でられました。美佳子さんを中心に、両側で演奏される劉先生とウェイウェイ・ウーさんの意気の合った演奏はとても聴きごたえのある素晴らしい演奏でした。

 コンサート最後の曲の前には、大分では4年半ぶりに来日してくださった王永徳先生ご夫妻に再会の喜びと感謝の気持ちを込めて劉福君九州二胡教室から花束が贈呈されました。また、霧島では7日・9日の2日間、本当に素晴らしい心に響く演奏を聴かせていただいた出演者の皆様に、感謝の気持ちを込めて生徒達から花束が贈呈されました。霧島会場には、薩摩川内市国際交流員の唐靚さんと都城市国際交流員のかれんさんにもご来場いただき、かれんには流暢な日本語で王永徳先生の通訳をしていただきました。
 王先生は、ユーモアを交えながら笑顔で自己紹介をされ、日中の友好と平和の大切さ、そして二胡は健康にいいので皆さん二胡を好きになってくださいと述べられました。会場は、温かな雰囲気と優しさに包まれ拍手が湧き起こる中、劉先生の作品「再会」が王先生、ウェイウェイ・ウーさん、劉先生、美佳子さんの共演で演奏されました。皆さんがそれぞれに心待ちにしていた再会、コロナ禍で経験した様々な激動の感情が見事に表現された演奏でした。アンコールには「ふるさと」が演奏され、7日、9日と両日にわたって開催された記念コンサートは、お客様の感動が伝わってくるような熱い拍手が送られる中終演となりました。
今回も二胡で奏でる音楽で出演者と会場のお客様の心が一つとなった幸せな時間を体験することができました。日中の政治的な関係が厳しくなる中、またウクライナ侵攻など国際社会で起きている悲惨な争いが続く中、国と国、そして人と人とが互いに少しでも理解し合い、寄り添えるように友好と平和を願う音楽活動はとても意味のあることだと思います。「今、一番大切なことは何か」言葉だけではなく、音楽らか伝わってくるメッセージを心で感じ得ることができた素晴らしいコンサートでした。

 今回、7日に熊本県を出発し、大分県の会場から鹿児島県の会場へと2泊3日のバス移動による演奏の旅を王先生ご夫妻、ウェイウェイ・ウーさんご家族、劉先生、美佳子さん、生徒さんと同行させていただきましたが、本当に楽しく思い出深い旅となりました。何よりも皆さんが明るく、温かく、優しく接してくださり感激しました。言葉が通じなくても心で感じ、伝わってくるものがありました。時にはジェスチャーで伝えたり笑顔の絶えない3日間でした。
コンサート初日7日は美佳子さんのお誕生日で、コンサート終了後に宿泊先でお祝いをしたり、夜景の綺麗な屋上のテラスでは福岡教室の生徒さんによる踊りも披露されたりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。そして王先生、ウェイウェイ・ウーさん、劉先生が二胡を通じて日中の友好と平和のために情熱を持って尽力されているお姿や、先生方同士の信頼関係、絆の素晴らしさに感動させられた3日間でした。またいつの日か再会できますようにと心から願います。
 最後になりましたが、ご来場いただきましたお客様、ご出演いただきました皆様、コンサート開催に際しご協力ご指導いただきました関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
そして、いつも素晴らしい企画に私達生徒を参加させてくださる劉福君先生に心より感謝申し上げます。

レポート:須藤小由美