令和6年能登半島地震被災者支援チャリティー
~春よ来い~ 二胡名曲コンサートに参加して

 令和6年4月20日(土)福岡県直方市ユメニティのおがた、4月21日(日)福岡県宗像市宗像ユリックスの会場で二日間にわたり「令和6年能登半島地震被災者支援チャリティー ~春よ来い~二胡名曲コンサート」が開催されました。
 今年の春は特に雨の日が多く「春の長雨」、「催花雨」の雨でしょうか。両日とも雨の降る中、ご来場いただきましたお客様に心より感謝申し上げます。
 草木や花が成長し生きるために大切な優しく柔らかな春の雨のように、音楽を通じて被災された皆様に心を寄せ、少しでも復興の力なりたいと、長年にわたり日本二胡界を牽引し日本の第一線でご活躍の二胡演奏家武楽群先生、張連生先生、甘建民先生、劉福君先生の豪華な共演で開催されました。また、2日間の伴奏には、ピアノの月岡翔生子さん、ベースは丹羽肇さん、森しのぶさん、パーカッションは村岡慈子さんが出演され演奏を盛り上げてくださいました。

 昨年企画された「~春よ来い~ 二胡名曲コンサート」の当初の趣旨は、日本に於いて二胡の振興と発展のために2005年に武楽群先生によって立ち上げられたNPO法人日本二胡振興会が昨年10月から新体制となったこの機会に、4人の先生方の一つの節目として、そして新たにスタートを切った記念とお祝いのためにと企画されました。しかし、来日以来、特にチャリティーコンサートに力を注いでこられた劉福君先生は、今年元旦に発生した能登半島地震の被害の甚大さに心を痛められ、今回も少しでも支援したい協力したいとチャリティーコンサートに切り替えて開催されました。
 今回は、劉福君九州二胡教室の生徒が出演した宗像ユリックス会場のコンサートの模様をレポートいたします。

 第一部オープニングは、先生方と九州各県から参加した劉福君九州二胡教室の生徒41名による日中の名曲「春よ来い」「北の国から」「賽馬」が演奏されました。
生徒の皆さんは、先生方との久しぶりの再会と一緒に演奏できる喜びを感じながら合奏を楽しみました。

 続いて、先生方のソロ演奏が次々と披露されました。
 張連生先生は、雄大な風景が浮かび歴史のロマンを感じさせる悠久の音色で「シルクロードのテーマ」を聴かせてくださいました。
 武楽群先生は、アジアの国々で広く愛され、歌い継がれている「蘇州夜曲」を流麗なピアノの伴奏にのせて、甘く美しい調べを心地よく会場に響かせてくださいました。
 甘建民先生は、二胡愛好者にも大変人気のある磯村由紀子さんの「風の住む街」の美しいメロディーを、優しく滑らかに幻想的な響きで聴かせてくださいました。
 第一部最後は、劉福君先生が昭和の名曲を2曲披露され、「影を慕いて」では人生の苦悩や絶望からの魂の叫びを豊かな表現力で、「青い山脈」では新たな時代の幕開けと希望を抱かせてくれる見事な演奏にお客様の手拍子が重なり、明るい未来が待っていることを期待させてくれる素晴らしい演奏で第一部が終了しました。

 第二部のオープニングは、劉先生の司会で始まり、生徒たちの斉奏が2曲披露されました。1曲目は、8名の生徒がタンゴのリズムに合わせフォーメーションを描きながら艶やかに「リベルタンゴ」を立奏し、2曲目は劉先生と7名の生徒が台湾の伝統的な舞踊曲「阿美族舞曲」をドラマチックに演奏しました。
 続いて、劉先生のご友人で竹笛奏者の王春杰さんの演奏が披露されました。
竹笛のソロ演奏は、なかなか聴く機会がありませんので、是非日本の皆さんに楽しんでいただきたいと特別出演してくださいました。カナダ在住の王さんは、中国国家一級演奏家で30年以上の豊富な演奏経験と非常に深い指導能力で、民族音楽の人材育成と中国民族音楽を広めるために尽力されています。今回は、1996年に創作された「牧民新歌」が披露され、美しい草原の風景とそこで暮らす遊牧民たちの楽しい生活の様子を豊かに表現してくださいました。
竹笛の凛とした澄んだ音色とテクニックの素晴らしさに、お客様の喜びが伝わってくるような沢山の拍手が送られました。

 そして、第二部も先生方のソロ演奏が披露され、張連生先生は、中国の代表的な作曲家で演奏家でもある劉天華の「空山鳥語」を演奏されました。美しく時に可愛らしい鳥の鳴き声や、鳥たちが空を自由に飛び回り、さえずり合う様子を見事な演奏テクニックで表現してくださいました。会場からは、驚きと称賛の拍手が送られました。
 武楽群先生は、二胡を独奏楽器として確立させた劉天華の生前最後の作品「燭影搖紅」を演奏されました。この曲は、華やかなダンスパーティーのシーンを軽快に生き生きと優美に描きながらも華やかさの裏に哀しさも感じさせる作品です。演奏の終わりには、美しく静かに蝋燭が消えゆく様が浮かんでくるようでした。劉天華の人生そのものが表現されているような素晴らしい演奏を聴かせていただきました。
 劉福君先生は、クラッシック音楽の中からドイツの作曲家ブラームスの作品「ハンガリー舞曲 第5番」を演奏されました。ジプシー音楽の特徴であるリズムの緩急と、音の強弱やテンポの変化が盛り込まれた曲です。圧倒的なテクニックと躍動感に溢れた情熱的な演奏で会場を盛り上げてくださいました。
 甘建民先生は、華やかな曲想で日本でも有名なハンガリー舞曲「チャールダーシュ」を演奏されました。前半はゆったりと穏やかに、後半は早いテンポの難易度の高いテクニックで演奏され、本当に心躍ってしまうような素晴らしい演奏に魅了させられました。

 コンサート終盤は、両日とも先生方のお話を聴かせていただきました。
 直方会場では、武先生が日本二胡振興会の会長として、張先生、甘先生、劉先生と共に続けてこられた18年間の活動の中で心に残っているコンサートの思い出や、18年前日本では中国の伝統楽器二胡という楽器は、まだあまり知られていなかった事をお話になりました。現在、日本では二胡が普及し二胡愛好者が増え、私達は二胡音楽をいろいろな場面で耳にすることができるようになりました。先生方の長年にわたる活動の積み重ねが実を結び、確かな成果へと繋がって今があるのだと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 宗像会場では、劉先生から今回起きた能登半島地震で被災された皆様に少しでも協力したい、応援したいという思いで開催したコンサートに、関係者の皆様、出演者の先生方とご来場いただいた皆様にご協力をいただいたことへの感謝の気持ちが述べられました。「お客様一人でも私たちは頑張ります!」と劉先生のお言葉がとても心に響き感動しました。
4人の先生方の温かいお言葉と素晴らしい演奏に会場のお客様も幸せな気持ちになられたことと思います。

 コンサート終盤は、今年元旦に発生した能登半島地震直後に武先生の依頼で劉先生が作曲され、今回のコンサートが初披露となった「海思~海のふるさと~」が演奏されました。
日本での生活が30年を過ぎた劉先生のふるさとに対する思いが込められたこの作品は、海の向こうの遠きふるさとを懐かしい思い「いつかまたふるさとに帰る、いつかまた友人と会える」と期待を胸に抱く哀愁溢れる曲でした。いつの時も優しく温かく包み込んでくれる「ふるさと」は、誰にとっても大切な帰る場所です。4人の先生方のふるさとへの愛を感じさせられる演奏に胸が熱くなりました。

 コンサート最後の曲は、ようやくコロナ終息へと明るい兆しが見えてきた中で迎えた春、かけがえのない家族や友人との再会を心待ちに、喜びと激動の感情を表現した劉先生の作品「再会」が演奏されました。曲のクライマックスではお客様の手拍子の中で演奏され、4人の先生方のそれぞれの思いが込められているような情熱的な演奏に心を打たれました。
 会場の拍手が鳴り止まない中、アンコールには「ふるさと」が演奏され、会場の皆様が自然と歌を口ずさんでくださり会場は一体となって素晴らしい二胡音楽の世界が広がりました。

 こうして2日日間にわたり能登半島地震で被害にあわれた皆様に哀悼の意と、被災された皆様の一日も早い復興を願って開催されたコンサートは、聴く人に様々なメッセージと感動、二胡の魅力を存分に伝え、会場に居るすべての方々と幸せな時間を共有でき、4人の先生方の一つの節目を感じさせられる素晴らしいコンサートでした。

 最後になりましたが、2日日間のコンサートの開催にあたり、関係者の皆様、会場スタッフの皆様にご支援ご協力を賜り心より感謝申し上げます。コンサート運営に際しご協力いただいた生徒の皆様にも心より感謝申し上げます。
そして今回も、企画から開催までの準備すべてに全力で取り組まれ、生徒達を舞台へと導いてくださった劉先生に心より感謝申し上げます。

 今回の直方市と宗像市で開催された2日間のチャリティーコンサートと5月11日、12日に劉福君先生と劉美佳子さんの親子共演で開催されました「令和6年能登半島地震被災者支援チャリティー~春よ来い~親子二胡名曲コンサート」の収益金40万円は、被災された皆様への支援金として石川県に寄付されました。
 皆様の温かいご支援とご協力に心より感謝申し上げます。

レポート:須藤小由美